「千と千尋の神隠し」は世界的に有名な長編アニメ映画ですが、
実は作品の中では明らかにされていない「裏設定」が存在しています。
今回はその隠された設定を解説し、「千と千尋の神隠し」の真実を明らかにしていきます。
まず、とは、スタジオジブリが制作した長編アニメーション映画です。
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千と千尋の神隠し(あらすじ)
「千と千尋の神隠し」の物語は、
10歳の千尋が両親と共に引っ越しをしている途中、奇妙なトンネルを見つけそこから不思議な世界へと迷い込んでしまうところから始まります。
そこは怪物のような見た目の八百万の神がいる世界で、両親はそこの料理を無断で食べてしまい豚になってしまったのでした。
千尋はそんな両親を救い、元の世界へと戻るために「油屋(あぶらや)」という場所で働きます。
様々な苦労や経験をする中で「どこにでもいる普通の少女」だった千尋が、力強く成長していくのでした。
千と千尋の神隠し(裏設定)
千と千尋の神隠しのお話には、
↓以下のような「裏設定」があります。
千と千尋の神隠しの【裏設定】
- 油屋のモデルは「夜のお店」
- 両親が豚になる理由
- カオナシの正体
- 迷い込んだ世界はあの世
- 千尋は名前を取られていない
- ハクは最後死んでいる
- タイトルが「神隠し」である理由
それぞれの内容について、順番に紹介しましょう。
油屋のモデルは「夜のお店」
主人公である千尋は千という名前で湯屋として油屋で働きますが、これは湯女をモチーフにしているとされています。
湯女とは、江戸時代において銭湯で垢すりや髪すきのサービスをしていた女性ですが同時に売春をしていたという歴史もあります。
また、湯婆婆との契約によって名前を取られ千尋から千へと変わりますが、これは源氏名であることを指しています。
さらに、宮崎駿監督のインタビューで
「今の世界として描くには何が一番ふさわしいかと言えば、それは風俗産業」
「日本は全て風俗産業みたいになっている」
との発言があり、千と千尋の神隠しと言う作品は少女という存在に現実の大人社会を垣間見せている、風刺的な作品だということが有名です。
両親が豚になる理由
千尋の両親は料理を勝手に食べ豚になってしまいますが、これは大人そして人間の醜さを描いています。
豚はユダヤ教とイスラム教において不浄の象徴であり、食べることを禁止しているモノでもあります。
お金はあるという理由で神様の料理を無断で食べた結果、醜い豚になってしまうというシーンは、愚かで貪欲な現代社会の人間の本能を描いているのです。
カオナシの正体
カオナシは現代の若者のイメージを抽象的に表現したものだとされています。
宮崎駿監督のコメントで
「ああいう誰かとくっつきたいけど自分がないっていう人、どこにでもいると思いますけどね」
との発言があります。
カオナシが自分の言葉を上手く喋れないことや、金つまりお金で相手と関わろうとするのは、現代社会において自己主張が出来ず周りに流されてばかりいる若者を表現しているのです。
迷い込んだ世界はあの世
千尋が迷い込んだ不思議な世界はあの世とこの世の中間だとされています。
千尋が迷い込んだ時、体が徐々に透けてしまいますが、これはそのまま存在が消えることを表しており死を表現しています。
また不思議な世界では花畑が描かれていますが、ここで描かれている花は本来なら開花時期が違うにも関わらず、同時に咲き乱れています。
アジサイは6月、ツツジは4月、ウメは2月、ツバキは12月から4月と、全てバラバラなのですが同時に開花しています。
このことから、この不思議な世界には時間や空間の概念がない場所だと推測できます。
さらに物語の後半で、千尋はカオナシと一緒に電車に乗りますが、この電車は行きしかなく搭乗する人々は皆黒く半透明の幽霊のような存在です。
これはあの電車の行き先があの世であり、千尋たちが居たあの不思議な場所はこの世とあの世を繋ぐ場所だったと考えることが出来ます。
千尋は名前を取られていない
油屋で働くことになり湯婆婆と契約するシーンですが、実は千尋は自分の名前を間違えて書いています。
何を間違えたのかと言うと、萩野千尋の萩の字です。この字の火の部分を犬と書いています。
千という名前になった千尋が自分の本当の名前を忘れなかったのは、名前を間違えて書いていたことで湯婆婆との契約が不成立であったからです。
また最後たくさんの豚の中から両親を見つけるシーンで千尋が両親が居ないことが分かったのも、契約が不成立だったためと予想できます。
わざとなのかどうかは分かりませんが、このことが功を奏して千尋は元の世界へと帰ることが出来たのです。
ハクは最後死んでいる
千尋と別れた後、ハクは八つ裂きになって死んでいるという話が有名です。
これは千尋が迷い込んだ不思議な世界は決まりごとが絶対であるからです。
ハクを助けようとする千尋に対して銭婆が言った
「お前を助けてあげたいけど、あたしにはどうすることもできないよ、この世の決まりだからね」という言葉や
ハクが湯婆婆に千尋とその両親を人間の世界に戻すよう頼んだ時の湯婆婆のセリフ
「そう簡単にはいかないよ、世の中には決まりというものがあるんだ」
このことから決まりごとが絶対であることが分かります。
ハクは湯婆婆と魔女の弟子になる契約をしていますが、契約を破ろうとして湯婆婆から
「あたしに八つ裂きにされてもいいいのかい」
と言われています。
また、千尋がトンネルを抜ける前ハクは千尋に、
「私はこの先には行けない。千尋は元来た道をたどればいいんだ。でも決して振り向いちゃいけないよ、トンネルを出るまではね」
と、まるで自分が死ぬことが分かっているかのような発言をしています。
他にも千尋が元の世界に戻るとき髪留めが光りますが、これはハクが永遠の別れから涙を流したことを表現しているとも考えられます。
別れの際千尋はすぐに手を放しますが、ハクは最後まで名残惜しそうに手だけがシーンとして画面に残り続けています。
さらに宮崎駿監督自身が「ふたりの永遠の別れ」とコメントしていることから、ハクは死んでしまったことが推測できます。
タイトルが「神隠し」である理由
そもそも神隠しとは、小さな子どもや娘などの人がある日忽然と居なくなってしまう現象のことです。
神隠しとは居なくなった人を待つ人間や周囲の人間が使う言葉です。
千尋本人は神隠しに遭っているという自覚は無いと思うため、これは両親や周囲の人間などの大人から見た子どもの成長速度の速さというものを指していると考えることが出来ます。
また日本は古来からの信仰で、万物には神が宿るという八百万の神という信仰があります。
千と千尋の神隠しでも数多くの神様が出てきますが、これは森や川などの自然を壊し開拓し、発展する現代社会に対して忘れてしまった神という存在を表しています。
日本人が忘れてしまった自然やモノを大切にする、という気持ちを千と千尋の神隠しは表現しているのです。