日本の昔話や怖い話にはいろんな妖怪が出てきますよね。
こうした妖怪の中でも「最強」といわれる妖怪は、
日本三大妖怪としてひとまとめにされることがあります。
もっとも、どの妖怪が最強か?(どれが日本三大妖怪か?)についてはいろんな説があります。
↓代表的なところで言えば、以下のような妖怪が三大妖怪の候補とされることが多いですね。
- 鬼
- 河童
- 天狗
- ぬらりひょん
- 酒呑童子
- 玉藻前(九尾の狐)
- 大嶽丸(大岳丸)
- 土蜘蛛
- 崇徳上皇
この記事では、日本三大妖怪にまつわるさまざまな説について紹介するとともに、
それぞれの妖怪の逸話やエピソードを解説しています。
日本の妖怪に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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三大妖怪とはどの3つ?さまざまな説がある
三大妖怪の定義については様々な説がありますが、特に有名な説としては以下の2つです。
- 鬼・河童・天狗説
- 酒呑童子・玉藻前・大嶽丸説
こんなの誰が決めているんだ?と思われるかもしれませんが、
妖怪は日本古来の伝承には必ず登場する存在ですので、民俗学や人類学の分野では大まじめにその定義が研究されているのです。
「鬼・河童・天狗」は妖怪研究科であり作家の多田克己氏が定義し、
「酒呑童子・玉藻前・大嶽丸」は文化人類学者兼民俗学者の小松和彦氏が定義したと言われています。
その他、ぬらりひょん・崇徳上皇・土蜘蛛なども有名ですが、三大妖怪として扱われることは比較的少ないようです。
最強レベル?有名な妖怪のエピソードや逸話を紹介!
以下では、三大妖怪を含む有名な妖怪たちについて、由来や歴史をかんたんに紹介します。
参考にしてみてください。
鬼
頭に角を生やし鋭い牙や爪を持つ人の形に近い姿をした妖怪です。
鬼の始まりは中国だと考えられ、日本に伝わったときに恐怖の象徴として広く知られるようになります。
元々は形の無い存在でしたが時代の流れと共にイメージが固定化し、現在の鬼のイメージである短いパーマのような髪に虎模様のパンツそして金棒や赤や青の色を持つ鬼が出来上がりました。
実はこれらは仏教の影響が大きいと言われていて、昔話などで悪い鬼を倒すというのは人が恐怖に打ち勝つということを表現していると言われています。
河童
全身緑色の子どもの姿に似ている水辺に棲む妖怪。頭の上に水の入った皿があるのが特徴的。
かっぱの語源は「かわ」と「わっぱ」が合わさり「かわわっぱ」という言葉が変化したもの。
人の仕事を手伝ったり薬の作り方を教えたりするなど良い言い伝えがある一方で、川で泳いでる人をおぼれさせたり尻子玉を抜いて殺してしまうなどの悪事も広く伝えられています。
河童という妖怪は地域によって見た目が毛むくじゃらだったり鱗が生えていたりと異なり言い伝えも様々です。
実は河童は、水辺に伝わる他の妖怪や民間信仰そして伝承などが特徴的な見た目で統一化された妖怪だという説もあります。
様々な言い伝えや由来があるため現代まで身近な妖怪として知られる存在となったのです。
河童はきゅうりが好物と言われていますが、これも元々は水神信仰が由来だと考えられています。
天狗
高い鼻に赤い顔、翼と鳥のくちばしのような口に山伏の姿で葉っぱのうちわを持った妖怪。
山奥に住み空を飛び天候を操作することが出来るとされています。
天狗の由来も中国です。
古代中国では天狗という言葉は、不吉なことを知らせる流れ星を意味していました。
流れ星つまり隕石が空中で爆発し大きな音が鳴り響くときに、その音を狗(犬)の咆哮に例え天の狗、天狗となったと言われています。
日本書紀においても天狗という言葉は登場しています。
中国から帰国した僧が流れ星を見ている人々に対し「流れ星ではない。これは天狗だ」と発言したそうです。しかしこの考えは定着せず、山岳信仰や民間伝承によって広く知られるようになったと言われています。
大江山の酒呑童子
丹波国の大江山に住んでいたとされる鬼の頭領。
酒が好きだったことから酒呑童子と言われていました。
父親が八岐大蛇であるという説がある程の酒好きで、山伏に化けた源頼光たちに酒を盛られ、寝静まったところを首をはねられ討伐されています。
首だけになってもその最後に兜に噛みつき「鬼は横道などせぬものを(鬼は騙すことはしないというものを)」と言い残したと伝えられています。
玉藻前=那須野の妖狐=九尾の狐
鳥羽上皇が愛したとされる伝説上の人物であり、妖狐の化身。
天下一の美女と言われるほどの美貌と国一番の賢女と伝えれるほど博識で鳥羽上皇に気に入られます。
しかし次第に上皇の体調が悪くなっていき、その原因が陰陽師によって玉藻前にあると言われ、正体がバレたことで逃亡。その後那須野で発見され討伐されてしまいます。
悪女として有名ですが、愛情を求めただけの妖怪であり悲劇のヒロインとする見解もあります。
鈴鹿山の大嶽丸(大岳丸)
伊勢国と近江国の国境にある鈴鹿山に住んでいたと伝えられている妖怪。
鬼神や魔王などとも言われ、山を黒雲で覆い暴風雨や雷そして火の雨などを神通力で起こしたと言われています。
悪逆無道の限りを尽くしたとされ、日本三大妖怪だけでなく日本三大悪妖怪として広く知られています。
ぬらりひょん
捉えどころや掴みどころが無いとされ、妖怪の総大将とされる妖怪。
江戸時代に描かれた妖怪絵巻でよく描かれてきました。
ただし、その詳細はあまり分かっていません。
要領を得ない妖怪であり、江戸時代ではのっぺらぼうのような妖怪であると当時の人々には理解されていたと言われています。
ゲゲゲの鬼太郎などの影響で妖怪の総大将というイメージがありますが、実は誤伝であり後から作られた俗説だとされています。
崇徳上皇
日本の第75代天皇であり、死後怨霊として猛威を振るったとされる存在。
貴族の内部抗争で後白河天皇に敗れたことをきっかけに、生前酷い扱いを受け死後も存在を無視されたことで怨霊となり祟ったとされています。
怨霊として恐れられる崇徳天皇ですが、実は小倉百人一首に和歌が選ばれています。
土蜘蛛
鬼の顔に虎の胴体そして蜘蛛の手足を持つと言い伝え、牛鬼に近い姿だとされている妖怪。
土蜘蛛草子、平家物語において有名な怪異でありどちらも源頼光によって討伐されています。平家物語の土蜘蛛は能の題材になる程有名です。
土蜘蛛の由来は当時の大和朝廷に対抗する地方勢力であると言われています。大和朝廷に敵対する人々を土蜘蛛という妖怪に変え、権力を誇示するために作られたとも考えられています。