「借りぐらしのアリエッティ」は、
2010年公開の米林宏昌監督のスタジオジブリ1作品目です。
ジブリ映画特有の「観おわった後の爽やかさと切なさ」を感じる作風でしたね。
ジブリファンとして気になるのは、
この物語の中のキャラクターたちの「その後」です。
- アリエッティは新たな借りぐらしの家を見つけられたのか?
- 翔の手術は成功したのか?
- アリエッティとスピラーは結婚したのか?
などなど、気になるけど作品内では描かれていないシーンがあるんですよね。
実は彼らの「その後」は、
原作小説「床下の小人の冒険シリーズ」の内容から、
ある程度は予想することが可能なんですよ。
以下では、借りぐらしのアリエッティの物語のその後について考察してみましょう。
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原作で描かれたその後の展開を踏まえて、考察していきたいと思います!
アリエッティのその後:新たな借りぐらしの場所はどこ?
映画のラストで翔のいる家を離れ、新たな借りぐらしの家へと旅立ったアリエッティ一家。
やかんを船にして川を渡って行くシーンが印象的でしたね。
「借りぐらしのアリエッティ」の原作であるイギリスの児童小説「床下の小人の冒険シリーズ」では,
実はやかんに乗って引っ越しをするシーンがふたつあります。
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最初に引っ越した場所では最初は楽しく暮らしていたものの、
のちに危険な目に遭い再び引っ越しすることに。
そして、2度目の引っ越しでたどり着いたのが古い「牧師の館」です。
(牧師というのは、キリスト教の聖職者のことです)
アリエッティたちは、そこで穏やかに暮らすことになります。
ジブリ「借りぐらしのアリエッティ」では、
「エンディングの川下りのシーンに写っていた小屋」が引っ越し先である可能性もありますね。
アリエッティたちはまた素敵な家を作り、お部屋に野花を飾っていることでしょう。
アリエッティとスピラーは結婚する?
スピラーは、登場シーンからインパクトのあったキャラクターですね。
小人にとって過酷な世界を物ともしないようなサバイバル能力をもった、頼もしい人物です。
そんなスピラーは可愛い一面を持っていて、
初めてアリエッティに会った時に目をまるくさせてじーっと見つめていました。
アリエッティたちのほかにも数人の小人を知っているスピラーでも、
同世代の女の子に会うのは初めてだったのかも。
このシーンで思い出すのは、
宮崎駿監督の作品「未来少年コナン」で、
女の子を今まで見たことがなかった主人公がヒロインと初めて会った時のシーンです。
(スピラーと同じように、目をまるくしてじーっと見つめていました)
もしかしてアリエッティのこのシーンは「未来少年コナン」のオマージュなのかもしれませんね。
アリエッティにかっこいいところを見せようとするスピラーの好意を感じます。
アリエッティのスピラーへの気持ちは?
恐らくアリエッティを女の子として好きなスピラーに対し、
アリエッティはどうなのでしょうか?
実は原作では、アリエッティがスピラーとの結婚宣言をしています。
「借りぐらしのアリエッティ」と原作の違いは色々とありますが、
最大の違いは “人間と小人の恋を描いた”ことです。
そう、アリエッティは翔に淡い恋心を抱いているのです。
最後にアリエッティが翔とお別れをする場面で、
スピラーは最初アリエッティが危ないと思い身を引きますが、
2人の様子を見て思い直し、その場を去ります。
このシーンは、アリエッティの失恋とスピラーの失恋を同時に描いたのかもしれません。
そのあとアリエッティを励まそうと、ぶっきらぼうではあるもののプレゼントを渡すスピラーに、アリエッティは嬉しく思ったでしょう。
微笑みながら受け取り、スピラーも嬉しさ全開でやかんの船をこぎます。
翔のその後は?手術は成功したのか?
翔は、小さい時から心臓の病気を患っており、物語の中では手術を受けることが示唆されていました。
この難しい手術は成功したのでしょうか? その答えは映画の冒頭で流れた、翔自身の語りから読み取ることができます。
「僕はあの年の夏、母の育った古い屋敷で1週間だけ過ごした」というモノローグです。
「あの年の夏」というフレーズから、
無事手術が成功して数年たっており、古い屋敷で出会ったアリエッティのことを思い出していることが分かります。
これは翔が日記などを書きながら懐かしんでいるセリフなのでしょうか。
それとも恋人や子供に語っているセリフなのでしょうか。
どちらにせよ、生きることを諦めかけていた翔が生きる希望を持つことができたのは、アリエッティとの出会いがあったからです。
アリエッティからもらった洗濯ばさみの髪留め、
そしてアリエッティとの短いながらも大きな思い出が、翔を支えたのでしょう。
翔は原作の設定と違う?
実は翔のもととなったキャラクターは、原作では名前が出ず、「人間の子」と呼ばれています。
そして先ほど書いたとおり、
原作では少年(翔)とアリエッティの交流はあまりなく、もちろん恋模様も描かれていません。
そしてなんと原作だと少年は死んでしまいます! と言っても、病気ではなく戦死です。
そもそも原作だと少年は、心臓病ではなくリウマチで療養という設定で、手術はしていません。
翔のイメージは、声優を担当した俳優の神木隆之介さんを参考に固められており、ルックスも似ています。
そのように原作と神木さんからインスピレーションを受けて出来上がったのが、
はかなくてもろい(でも優しい少年)翔なのでしょう。
アリエッティと翔、2人の再会はある?人間と小人の越えられない壁
この映画のキャッチコピー「人間に見られてはいけない。それが床下の小人たちの掟だった」からも、
人間と小人の間には越えられない壁があるということが、はっきりと分かります。
それを破ってしまったためにアリエッティ一家は危険な目に遭い、引っ越しをすることになりました。
体の大きさのほかに、価値観の違いもあります。
例えば作中に登場するドールハウスですが、
これは翔の曽祖父が小人たちのために作ってもらったものです。
いつか小人たちに住んでもらいたいと思っていたのでしょう。
でもアリエッティの父ポッドは苦い表情でアリエッティにドールハウスのことを話していました。
小人の掟や人間への恐怖だけではなく、
「人間に保護され生きるのは御免だ」という小人としてのプライドを表していたのかもしれません。
再会できたとしたら、考えられるパターンはこれ!
そんな壁が立ちふさがる2人ですが、また再会できたら素敵ですよね。
もし引っ越し先が、先ほど述べたエンディングに写った小屋ならば、屋敷からはさほど離れていないように思います。
小人にとってはかなりの距離でも、人間にはあっという間に着く距離なのでは。
そこでこんなパターンを考えてみました。
アリエッティは引っ越し先でも、
注意はしつつもやっぱりローリエや花をつみに外へ出掛け、
そこへ懐かしい土地に訪れて散歩をしていた翔に再会。
アリエッティが先に気づいて葉っぱの陰に隠れ、翔が葉っぱに写るシルエットからアリエッティだと分かり声をかける、といったパターン…ありそうじゃないですか?
そんな再会があったら素敵だと思います。
もちろんアリエッティのセコム、スピラーが弓を引いているシーン付きです!
短編でも良いので続編見ることができたら嬉しいな、という願望のもと考察してみました!