
(荒地の魔女の「若い頃」について考察します)
スタジオジブリの長編アニメーション映画として有名な「ハウルの動く城」ですが、中でも荒地の魔女は印象的なキャラクターですね
荒地の魔女はいわゆる「敵役」として登場しますが、
ハウルの少年時代では「2人は恋人関係だったのではないか?(ひょっとして童貞を奪った相手?)」と思わせる描写があります。
今回は若い頃の荒地の魔女の正体と、ハウルとの関係について考察していきましょう。
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荒地の魔女の若い頃は優秀な魔法使いだった
荒地の魔女は肥満体型に貴婦人のような黒いドレスを着た姿で、
「欲望に忠実で裕福な中年女性」というイメージで描かれています。
しかし、荒地の魔女は若い頃、物凄い美人で優秀な魔法使いでした。
王宮付き魔術師サリマンの策略により、
王宮前の長く険しい階段を上らされ、疲れ切ったところを罠にかけられます。
そして、魔力をすべて奪われてしまい醜い姿にされてしまったのです。
サリマンというキャラクターは非常に恐ろしい存在です。
優秀なハウルがサリマンの事を極端に恐れていることから、
ハウルよりも高い魔力を持ち合わせていることがうかがえます。
荒地の魔女は、そんなサリマンが罠にかける程の存在でした。
彼女がいかに優秀な魔法使いであったかがうかがえます。
サイドストーリー「星をかった日」での登場(ニーニャ=荒地の魔女の若い頃?)
ハウルの動く城には、前日譚(サイドストーリー)と言われている、
「星をかった日」という短編映画があります。
この作品の中で「若い頃の荒地の魔女が登場している」という説があります。
※「星をかった日」の原作者である井上直久氏も、
↓Twitterで「ニーニャとノナが後の荒地の魔女とハウルだという説を宮崎駿氏から直接聞いた」と発言しています。
@akipcs こちらこそ、ありがとうございます。鈴木さんが言ったという、ニーニャとノナ君が後の荒れ地の魔女とハウルだという説、私は宮崎駿さんから直接聞きました。あの魔女とはあんまりだ、せめてサリマン先生にしてくれと(笑)言ったんですが、イヤそうなんですとゆずられませんでした。
— Naohisa INOUE 井上直久 (@iblard_INOUE) October 11, 2013
この作品は主人公である少年のノナが星を買って育てるという話なのですが、
物語の中でニーニャという美しい女性が出てきます。
ニーニャは黒いドレスに身を包み、ミステリアスで大人の雰囲気をもった美しい女性です。
実はこのニーニャが荒地の魔女の昔の姿だと言われています。
悪魔との契約の理由=ハウルとの恋人関係?
荒地の魔女は、ハウルと同じ様に悪魔と契約をしています。
(ハウルの動く城の設定時期よりも50年前)
悪魔と契約した者は、徐々に身も心も悪魔に支配され乗っ取られてしまいます。
荒地の魔女も悪魔に取りつかれてしまいました。
私利私欲で数多くの心臓を奪い、それが原因で王宮から追放されています。
気になるのは「なぜ、元々優秀だった彼女が、悪魔と契約したのか?」の理由ですが、
これは作中で明確には表現されていませんね。
結論から言うと、悪魔との契約に至った理由は、ハウルとの関係にあったと推測できます。
荒地の魔女とハウルは、2人とも価値観が似ています。
具体的には、互いに美というものを重要視しているという点です。
それは荒地の魔女が本当はおばあちゃんである自分を偽るため、自身に魔法をかけて姿を若く見せている点からも分かります。
また、彼女はハウルの心臓に執着しています。
そのことからも、ハウルという存在そのものを欲しがっていることが分かります。
荒地の魔女は「ハウルとゆっくり話したい」と発言している場面もありますね。
このことから、ハウルを欲するあまり悪魔と契約してしまったと考えられます。
ハウルと付き合っていた
荒地の魔女がなぜそこまでハウルにこだわるのかと言いうと、
それは昔2人が恋人関係にあった(付き合っていた)からです。
その根拠は、やはりハウルの動く白の前日譚である「星をかった日」にあります。
上で紹介した井上直久さんのコメントによると、「ニーニャとノナ」は「荒れ地の魔女とハウル」です。
この作品内で、ニーニャとノナ(荒れ地の魔女とハウル)は、昔からの恋人関係であることが描かれています。
※作中で、ハウル(ノナ)は、自分自身からニーニャ(=荒地の魔女)に近づいたことをほのめかしています。
その一方で「怖い人だった」とも発言しており、
城の中に魔女除けの道具を集めてあることからも、荒地の魔女を避けていることが分かります。
おばあちゃんになり魔力をすべて無くしてしまった荒地の魔女ですが、
そんな状態でもハウルの心臓を欲し続けています。
荒地の魔女がハウルを求めているシーン
ハウルの動く城という作品でも、荒地の魔女がハウルを求めていると思われるシーンがたくさんあります。
例えば、以下のソフィーと荒地の魔女の会話です。
- ソフィー
「おばあちゃん、恋したことあるの?」- 荒地の魔女
「今もしているよ?」
また、「ハウルとゆっくりと話をしたい」という発言からも、
荒地の魔女がハウルに恋心を抱いていることが窺えます。
また荒地の魔女がハウルにたいして行った呪いの呪文で、
「流れ星を捕えし者、心無き者。お前の心臓は私のものだ」
ハウルの動く城の中では、心臓は「相手の気持ち(心)」と描かれます。
つまりこれはハウルという存在そのものを欲しているということです。
「心無き者」という表現がありますね。
これは、過去のハウルが荒地の魔女に自分で近づいておきながら、
勝手に逃げて居なくなってしまうその薄情さを攻めているのであり、
恋愛感情のもつれがあったことを強調しているとも考えられます。
ソフィーに老化の呪いをかけた理由=嫉妬心?
ソフィーは荒地の魔女によって、老化という呪いを受けてしまいます。
ここまでの話を前提とすると、
これは恋敵に対する嫉妬心から来ていることが容易に想像できます。
荒地の魔女とソフィーの性格は正反対です。
荒地の魔女は傲慢で欲望の化身という女性ですが、
ソフィーは内向的で小さなことでも怯えてしまう少女です。
自分とは真逆ともいえるソフィーが、自分の愛するハウルと仲良くしている姿に嫉妬しているのでしょう。
自分とハウルが最も意識している美というものから最も遠いともいえる老い、
つまり老化の呪いをかけたと考えることが出来ます。
ハウルは美しくなければ生きている意味などない、というほど容姿を気にしています。
そのため、ハウルが最も嫌がる容姿に変化させることで、ソフィーを嫌われるように仕向けたわけです。
一方で、荒地の魔女は魔法で容姿を若く保つことができます。
自分のソフィーに対する優位性を示したかったのでしょう。